17歳不正アクセスの少年、中学時代にいじめに遭い、不登校になった。
少年は「教育機関や教員に恨みがあった」と供述している。「中学時代にいじめを受け、その際の学校の対応に不満があった」とも話している。警視庁は供述の裏付け捜査を進めているとともに、少年が去年の春ごろから不正アクセスを繰り返していたとみて調べている。(NHK7月1日)
警視庁は今年1月、テレビの有料放送不正視聴プログラムを開発、公開した容疑で少年の自宅を家宅捜索。押収したサーバーから、佐賀県立中高の生徒らの住所、氏名、成績関連書類などを含む約21万件のファイルが確認された。県教委の調査で、被害は延べ約1万5000人分以上に及ぶことが判明した。
捜査関係者によると、昨年4月に保存されたファイルがあったといい、少年が同時期までには既に不正接続し、個人情報を盗み出したとみている。公立高が管理する教育情報システムから流出したとみられる大量のファイルが見つかった。
警視庁は2月15日、県教育庁に、システムの安全を確認するよう連絡。その後も、21万件のファイルが流出したとみられることを情報提供するなど、複数回にわたって安全確認を促したという。佐賀県の教育情報システムが不正にアクセスされ、成績などの個人情報が大量に流出した事件で、佐賀県教育庁が問題を把握した後にも、同様の手口で不正アクセスされていたことが捜査関係者への取材で分かった。警視庁から情報を提供された県教育庁が、パスワードを変更するなどの対策を怠っていた可能性があるという。
(朝日新聞6月28日)
佐賀県教育委員会は27日、教育情報システムへの不正アクセス事件を受けた会見で、盗まれた約21万件のファイルなどのうち、県立学校9校でこれまでに約1万人分の生徒や保護者、教職員の個人情報の被害を確認したと発表した。調査は継続中で、さらに被害が拡大するとみられる。
被害を受けたのは佐賀東、佐賀北、小城、佐賀商業、武雄、佐賀西、佐賀工業の各高校と、致遠館中・高の9校。このうち7校は、校内無線LANの校務用や学習用サーバーからファイルが盗まれた。これとは別に、学習・教材管理などで教職員が利用する教育情報システム(SEI−Net)からも7校の情報が盗難に遭った。重複して被害を受けた学校もあった。
学校運営に必要な情報が保存されている校務用サーバーからは、4校の生徒6568人、教職員335人、保護者ら2686人分の個人情報の流出を確認した。氏名や住所、電話番号に加え、生徒のIDとパスワード、成績関連書類では小テストの点数やクラス編成時の成績など、生徒指導関連では家庭環境調査や指導報告などが盗まれた。
授業に使う情報が保存されている学習用サーバーからは、6校で生徒の氏名などが漏れた。また、SEI−Netからは、7校について教職員579人分のIDや氏名、メールアドレスのほか、生徒5502人分のIDや氏名が個別に抜き取られていた。
被害者には、文書で不正アクセスの概要や相談先を知らせる。各校と県教委に午前8時半〜午後8時まで専用の窓口を設置し、相談に応じる。27日時点で、情報が悪用されるなどの二次被害の報告はない。
山口祥義知事は同日、報道陣に「重い課題だと思っている。流出した情報はセンシティブなものも多い。システム自体のセキュリティーを含め、再検討をしっかりやる」と述べた。(佐賀新聞6月28日)
文科省に衝撃走る
全国の公立小中高校の普通教室に設置されている電子黒板の整備率(2015年3月時点)は全国平均が9%なのに対し、佐賀県は76.5%で全国1位。パソコンの整備状況も生徒2.6人に1台と全国トップで、国が第2期教育振興基本計画(13〜17年度)で定める目標の3.6人に1台を唯一超えており、ICT化の先進地域として知られていた。
文部科学省によると、児童や生徒の学籍や成績などの情報をコンピューターで管理するシステムは「校務支援システム」と呼ばれ、各地の学校で導入が進んでいる。教職員同士が情報を共有することできめ細かな指導をしたり、教員の校務負担の軽減を図ったりするメリットがあるとされる。
佐賀県のシステム「SEI−Net(セイネット)」は全国に先駆けて、13億円の経費で、13年度から導入された。学校側が授業支援のためのデジタル教材を提供し、児童生徒が家庭でダウンロードして予習や復習に利用したり、ネット経由で相談に乗ったり、学校行事の確認をしたりすることも可能にしていた。
佐賀県教委によると、このシステムには5月1日現在で小中学生3万4739人、高校や特別支援学校などの県立学校生5万6590人、教職員7987人の情報が登録されていた。教職員が成績や住所などの個人情報にアクセスするには、校内ネットワークに接続したうえでIDとパスワードを入力する必要がある。児童生徒はIDとパスワードを入力すれば、校外からでもネットに接続して、自分のテスト結果や電子教材などは閲覧できるという。(毎日新聞)佐々木洋、池田美欧 一部補足